レンタルオフィス「METSオフィス」運営責任者のオバタです。

稀にお客様から「集客は何か特別なことをしているのですか?」と聞かれることがあります。特にバーチャルオフィスやレンタルオフィスは比較対象の競合が多いわりに検索需要は少なめでお世辞にも集客しやすいとは言えないジャンル。しかも格安サービスが多いというおまけ付きですから、集客方法が気になるという方がいらっしゃるのも頷けます。

何もかも赤裸々に明かしてしまうのは流石に難しいのですが、主な施策をまとめてお伝えするだけでも集客ノウハウに疎い起業家の方々にとっては参考になるかと思いますので、今回の記事では他社も含めオフィスサービス業者全般が行っている主な集客施策について具体的な事例を交えつつ解説しておきます。

集客が得意な方も確認までに一読いただければ幸いです。他業種でも何らかのヒントになるかもしれません。

リスティング広告、ディスプレイ広告

リスティング広告例

各オフィスサービス業者が特に力を入れているのがリスティング広告とディスプレイ広告です。YahooとGoogleどちらも使うのが一般的ですね。Web広告には他にも色々ありますが、圧倒的にこの2つの利便性が飛び抜けています。

リスティング広告は「地名などの検索キーワードに連動した広告をピンポイントに出せる」「金を積めば検索結果で1位表示されているサイトの真上に広告を出せる」といったメリットがあるため、特に賃料やサービス料が高めなオフィスサービス業者にとっては非常に使い勝手の良い広告です。格安サービスを提供している業者にとっては特段コスパが良いわけではないし扱いづらい面はあるかと思います。

ディスプレイ広告は、主にYahooのサイト内やその他著名サイト、ブログ等の広告枠を使って幅広いターゲットに向けた広告を配信するために活用されています。リスティング広告に比べコストは抑えられますがターゲットの絞り込みがどうしても甘くなるので、まずは認知してもらうという目的のために利用することが多い広告でもあります。

オフィスサービス業者全体で見てみると、成約率を重視しているためかどちらかと言えばリスティングのほうに力を入れている印象があります。時期や曜日、時間帯によってはディスプレイ広告で多く見かける機会もありますが、リスティングのほうが条件問わずいつでも各社の広告が出ている状況です。

レンタルオフィスやバーチャルオフィス関連の1クリックあたりの単価は決して安くはないので(リスティングなら1クリック1000円を超える場合も……)、どちらも費用対効果が高いと判断できる水準で運用できなければ使うメリットがなく、特に格安のオフィスサービス提供業者の中には殆ど使っていないところもあると思います。

SEO

検索経由のアクセスを得るためのSEO(検索エンジン最適化)は集客施策の中では当然必須科目ですが、バーチャルオフィスやレンタルオフィス関連のキーワードは検索順位で1位を取らなくてもユーザーが片っ端から見て比較していくケースが多いため、SEOにはそこまで力を入れずに様々な広告を使ってうまく回している業者も少なくありません。SEOへの力の入れ具合は、各業者の運営方針やかけられる予算によってまちまちというのが実情です。

「バーチャルオフィスorレンタルオフィス+地名」で上位表示するのが望ましいのはどの業者もわかっていることですが、ドメインパワーが強い大手や競合サイトと同じ土俵には簡単に立つことができないので難しいところです。

比較されることが前提のサービスでもあるので、諸々の条件にもよりますが特定のキーワードで検索上位を狙うよりも色々な場所に露出することに力を注いだほうが良いというケースはあると思います。

おまけ:ステマ&SEOをしている業者の実例

別に珍しい話でもないのですが、工作したランキングサイトでステマと簡単なSEOをしているオフィスサービス業者を先日発見したので実例としてご紹介しておきます。

なぜわかったのかというと、そのサイトのソースには明らかに工作だとわかる証拠が残っていたからです。(下図のソースSSがその証拠の一部)

自作自演サテライトサイト実例

このサイトはランキング形式で作られており、ステマ用に某社サービスを1位に、ステマの引き立て役として他社サービスを2位以下に配置して各サイトへリンクを飛ばしていました。(発見時、当サイトは3位)

ちょっとお粗末かなと思うのですが、1位のサイト以外のリンクには「rel=”nofollow”(リンク先をクロールの評価対象から除外)」が付いていて、2位以下のサイトは実質リンクが付いていないも同然という状態。あまりにも露骨な工作でした。

「悪質なステマじゃないか!」という声が聞こえてきそうですが、この手のサイトは様々な業種・サービスのサイトでいくらでも見かけるので……残念ながら消費者側が騙されない目を養う他ないのが現状かと思います。

この程度の工作はソースを見たらすぐにバレてしまうので、SEOをこれからやろうと考えている方は安易に低品質なスパムに手を染めないようご注意ください。

※某社の名誉のためにURLや社名は伏せます。(魚拓と全ソースのキャプチャ保存済)

ソーシャルメディア広告

現在よく使われている代表的なソーシャルメディアと言えばFacebook、Twitter、Instagramなどですが、オフィスサービス業者が広告を出すのはほぼFacebook。単純にリスティング広告より単価が抑えられるからという理由でFacebook広告(+Facebook広告の管理画面で同時に広告出稿設定できるInstagram)を使っているという業者は少なくないようです。

Facebook広告例(METSオフィス)

Twitter広告は、Facebook広告と比べるとあまり良い運用ができない印象です。特にオフィスサービスはTwitterを積極的に運用している層にアプローチしづらい面があるのかもしれません。Twitterの特性や広告のフォーマットを考えればやむ無し、といったところでしょうか。

各ソーシャルメディアにはそれぞれ異なる属性のユーザーがいるので、自社サービスにマッチしそうなところにまずは露出してみることが大事なのかなと思います。(オワコンと言われ数年が経つものもありますが……)費用対効果は二の次でまずは出してみて反応を見てみるという感覚は持っていたいものです。

記事広告(外注)

記事広告(外注)は、アクセス数が多い他社のWebサイト上に自社サービス専用の記事を制作してもらう集客施策。コストは各メディアが持つ月間ページビュー数に比例して高くなる仕組みとなっており、高いものだと1記事で数十万円~、安くても数万円程度かかります。

制作した記事から自社サイトへリンクを貼ってもらうことができるため、長期的に見ればSEO効果も兼ねるコスパの良い施策と言えます。記事広告はペイドリンク(金で買ったリンク)やステマの一種に分類されることもありますが、取材や制作コストへの対価と考えれば真っ当な集客施策だと言えるでしょう。

ジャンルに特化した記事更新型ポータルサイトを利用

オフィスサーチビズ例

各オフィスサービス業者が近年こぞって掲載依頼をしているのが、オフィス情報に特化した記事広告型ポータルサイトです。

頻繁にアップデートされる検索アルゴリズムの傾向で、記事更新型ポータルサイトの検索順位は上がりやすくなっています。集客施策としてもそれなりに効果は高いと思いますし、単にバックリンクを購入するような感覚で利用してみても面白いと思います。

膨大なアクセス数があるメディアを利用

LIG記事広告

例として2014年に大手オフィスサービス業者「サーブコープ」がステマ型の記事制作を依頼したことがあるLIGをご紹介します。

LIGの記事広告は現在1本60万円から。月間のPV数が数百万を超えるようなWebメディアは、それなりにコストがかかるため、積極的に利用しているオフィスサービス業者は現状少ないです。

こういったメディアは「自社サービスの顧客層にマッチしたターゲットだけにアプローチできない」という懸念を持たれがちですが、裏を返せば普段アプローチできない層にも読んでもらえる可能性があるということ。長期的な費用対効果を考えれば相当コスパは良いはずですが、「今空室を埋めたいからリスティング使おう」となってしまうのがオフィスサービス業界のスタンダードなのかなとも思います。

他サイトのバナー広告枠を利用

他サイトのバナー広告枠利用にはいくつかのパターンがあるので、カテゴリ別に要点だけまとめておきます。

古いポータルサイトのバナー広告枠利用

レンタルオフィスインデックスSS

近年の検索アルゴリズムの変化により「主にリンクで構成されているWebサイト(ざっくり言うと古いポータルサイトやリンクファーム等)」の評価は軒並み下がっているのですが、レンタルオフィスやバーチャルオフィス業界ではまだまだそのようなサイトが根強く残っており、特定のキーワードでは未だに上位表示されていたりします。

このようなサイトにバナー広告を出しているオフィスサービス業者は非常に多く、コストも大体は月数万~程度でコスパも悪くはありません。今後も当面の間はこの状況が続くのではないかと思われます。上位表示されるほどドメインパワーが強いうちはバックリンクを貼れるサイトとしても十分に価値があるでしょうし、成約に繋がるようなアクセスがなくてもまだ利用価値はあるでしょう。

今後の検索アルゴリズムの変化により被リンク用のサイトとしての価値すら無くなれば淘汰されるかもしれません。

他業種のWebメディアのバナー広告枠利用

こちらに関してはオフィスサービス業界全体に浸透しているとは言えませんが、他業種のWebメディアにバナー広告を出しているところもあります。

これに予算を回すくらいならリスティングに……という業者が殆どなので幅広く定着することはないかもしれませんが、今後利用するところが増える可能性はあると思います。

あまり使われていない集客施策

他業種では積極的に使われているものの、オフィスサービス業界では主流とは言えない集客施策についても触れておきます。

ソーシャルメディア運用

Facebook、Twitter、Instagramなどの著名なソーシャルメディアは集客ツールとして非常に高いポテンシャルを持っていますが、バーチャルオフィス・レンタルオフィスの業種でうまく使いこなせているアカウントは殆ど見かけません。賑わっているように見えるのは大手であるサーブコープのFacebookページをはじめ、数えるほどしかないのです。

レンタルオフィスやバーチャルオフィスという業種はソーシャルメディアには明らかに向いていません。自社で何かしらコンテンツを生み出しそれを配信していくといった工夫ができなければ、大半の業者が空室の案内やキャンペーン告知など宣伝ばかりのアカウントを運用する羽目になります。実際にそういうアカウントが更新をやめて放置されていくのを何度も見てきました。

オフィスサービス業者のソーシャルメディア運用に関しては、単純にそこに割けるリソースがないという場合もあるでしょうし、他のWeb広告があれば不要だという場合もあると思います。リスティングやその他Web広告でうまく回っているならムリヤリ運用する必要性は無いと考えている業者が殆どなのだと思います。

アフィリエイト広告

業界全体で使われているとは言えませんが、A8などのASP(アフィリエイトサービスプロバイダ)を使っているオフィスサービス業者もあります。有名どころではリージャスです。著名で顧客単価が高めなリージャスやサーブコープであればアフィリエイト広告を使うメリットがありそうです。

アフィリエイターに支払う報酬は、どのような名目であれ売上から出すことになります。その報酬分は賃料や初期費用などに上乗せすることになるわけですから、特に格安を売りにしているようなオフィスサービス業者がこぞってアフィリエイト広告を使うような状態には今後もならないでしょう。

そもそも優秀なアフィリエイターは、レンタルオフィスやバーチャルオフィスの商材よりも単価が良くて売れる商材を扱っていますから、そういった面から見てもオフィスサービスのアフィリエイト広告は業者がわざわざ手をつける価値がないのかなと思う次第であります。

コンテンツマーケティング

SEO施策に含まれる面もあるですが、分けたかったので別枠で書きます。

コンテンツマーケティングとはざっくり言えば有益な記事で見込み客を集める集客施策です。オフィスサービス業者の中で本格的に取り組んでいるところは殆ど無いですね。この業界には不向きとまでは言いませんが、そんな予算があれば他の広告に使ったほうがうまく回るケースが多いため、やる必要がないと判断しているところが多いのだと思います。

コンテンツマーケティングをやるとなると、自社内に専用の人材を育てるか外注するかの二択になります。社内にリソースがなければ出来ないし、外注するにしてもちゃんとやろうとすれば相当なコストがかかります。実情を知れば、各社ともリスティングなど手っ取り早く成約が取れる広告に予算を割くのが当然の流れ。今後もオフィスサービス業界に浸透することはなさそうです。

公演、メディア露出、セミナー

公演、メディア露出は、使われていないというよりはできるところが限られていると言ったほうが正しいですね。オフィスサービス業者の中でこれらの施策を積極的に行っているのはアントレサロン。主に高年齢層の起業家支援を打ち出しつつ大手メディアをうまく利用して他社には模倣しづらい見事な手法で集客できています。

セミナーやイベントについては、規模の大小はありますが様々なオフィスサービス業者が取り入れるようになりました。お客様によりよりサービスを提供するための手段として今後もっと伸びていくと思います。

メルマガ・LINE@などの活用

オフィスサービス業界では殆ど使っているところを見かけないですね。新規の集客ではなく既存会員様への告知手段や囲い込み用途などで使っているところはあるでしょう。

新規の見込み客獲得となるとどうしても他の広告費に回したほうが話が早く済むので、業界的に優先順位は相当低いと思われます。

まとめ

オフィスサービス業界に限ったことではないですが、どこの業者も社内のリソースや予算内で出来ること、出来ないことを分けてそれぞれ取り組んでいます。

リスティングに力を入れている業者が多い中、他の施策でうまくいっていたり、スパム的なSEOやステマにコストをかけているところもあります。今うまく回る仕組みがあるなら、それがそれぞれの会社にとっての正解なのだと思います。(スパムはダメだと思いますが……)

全ての業者に言えることですが、既存の集客案のままいつまでもうまくいくとは限りません。「現状維持は後退」という言葉があるように、今までやってなかったこと、新しいものを取り入れ活用していかなければ競合に取り残されて負けるリスクが高くなっていくことでしょう。

いつでも新しいものを取り入れられるよう準備はしておきたいものですね。
言うは易く行うは難し……ではあるのですが。